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【遺言書の相続】3-4:遺書と遺言書は何が違うの?





【相続の学校】レッスン1-1:スライド2枚目

遺書と遺言書は同じモノだと思ってました・・・
【質問】「遺書と遺言書は、何が違うのですか?」

遺書と遺言書を同じ意味だと、勘違いしている人も多いのですが・・・
相続に関係する「遺書と遺言書では、法律的な意味合いが全く違います」

相続では「法律と言葉の意味を正しく理解していることが重要」です。
法律を知らなかったと後悔しても、相続はやり直しが出来ません。
それでは、遺書と遺言書との違いを順番に解説していきます。

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遺書と遺言書の大きな違いは・・・
・遺書とは「個人的な手紙」です。
・遺言書は「法律に基づいた書類」です。

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「遺書」とは、残された人への手紙です。
例えば、自分の気持ちを家族や友人に伝えたり、
死んだ後の葬儀やお墓の希望などを書きます。
書式も内容も自由で、何を書いても問題ありません。

遺書には、法律的な強制力はない為、
書いてある内容に、相続人が従う義務はありません。
例えば「兄弟仲良くすること」と書いてあっても、
従わないからといって、法律的な罰則はありません。
相続の遺産分割にも、基本的には影響しません。

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「遺言書」とは、相続財産に対する指示書です。
法律的にも強制力を持つ書類ですので、原則として
相続人は、遺言書の内容に従わなくてはいけません。
従わない相続人に対しては、訴えることが出来ます。

ただし、遺言書の内容で強制力があるのは、相続財産に関係する部分だけです。
相続財産以外のことに書かれた部分を「付言事項」といいますが、
例えば「兄弟仲良く」といった項目には法的な強制力はありません。

遺言書の作成は、法律で細かく定められています。
法律を無視した、勝手な遺言書は無効になります。
遺言書には、自筆証書遺言書、公正証書遺言書、
秘密証書遺言書などの種類があります。
(詳しい内容については、後のレッスンで解説します)

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エンディングノートとは、「自分が死んだ時に備えて、
必要な事柄をまとめたノートのこと」です。
エンディングノートには、決まった形式はありません。
内容も本人の自由ですので、家族への気持ちや、
葬儀の希望、友達の連絡先などを書いておきます。

エンディングノートの注意点としては・・・
エンディングノートに印刷された遺産の項目に、
相続財産を記入して、遺言を残したとしても
「法律的に有効な遺言書とは認められない」可能性が高い
ので「遺言書は法律に従って、別に作成して下さい」

【相続の学校】レッスン1-1:スライド7枚目

<遺言書の基礎知識>:「遺言書と死因贈与契約の違いとは?」
今回は、相続の法律知識として「死因贈与契約」を紹介します。
「死因贈与」とは、死亡を原因として贈与を約束することです。
契約とは、お互いの合意によって成立する法律行為です。
例えば「自分が死んだら、この土地をあげる」と、一方的ではなく、
お互いが合意の上で結んだ契約が死因贈与契約です。

自分が死んだ時に、相続人以外の人に財産をあげる点では、
遺言書による遺贈も、死因贈与契約も似ています。
では「遺言書による遺贈と死因贈与契約では、何が違うのでしょうか?」

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例えば「自分が死んだら、この土地をあげる」と贈与の約束をしたとします。
確認の為に、遺言書に書いた内容を見せてもらいました。
遺言書に書いてあれば、この約束は法律的にも有効だと安心しました。
亡くなったら、この土地をもらえると思い込み、いろいろとお世話をしました。
しかし、この約束は、遺言書に書いてあるだけでは、実は安心できません。

なぜなら遺言書は、何度でも自由に作り直すことが認められているからです。
従って遺言書を作り直せば、前に書いた遺言書の内容は無効になります。
つまり、相手の気が変わり、遺言書の内容を書き換えられてしまったら、
「自分が死んだら、この土地をあげる」の約束は無かったことになるのです。

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このようなトラブルの解決策が「死因贈与契約」です。
遺言書は、一方的に内容を自由に変更できるのに対して、
死因贈与契約は、お互いに合意した上での契約なので、一方的に変更することはできません。
だから、法律知識のある人は、生前の約束は遺言書ではなく、死因贈与契約書で残すのです。

ポイントは、遺言書の法律を知らなかったとか、
相手を信用していたと言っても通用しませんので、
後悔しないように勉強しておきましょう。

【相続の学校】レッスン1-1:スライド9枚目

以上で、今回の「相続の学校」のレッスンは終了です。
「遺言書は法律的な書類」で「遺書は法律に関係ない手紙」でした。
遺言書には、相続人は従わなければいけませんが・・・
もし「長男に全ての財産を渡す」と書いてあったらどうなるのでしょうか?

実は、遺言書に書いてあっても、相続人には遺留分という仕組みがあります。
遺留分とは、遺言書の内容に関係なく、最低限もらえる財産のことです。
次のレッスン「遺留分は、いくらもらえるの?」で順番に解説していきます。