
遺言書について知りたいのですが・・・
【質問】「遺言書があると相続は何が違うのですか?」
遺言書があることによって、相続のルールと手順が変わります。
遺言書がない相続では、法定相続分をもとに相続人同士の
話し合いで相続する財産を決めていきます。
遺言書がある場合には、相続人は話し合いではなく、
原則として、遺言書の内容に従って財産を相続します。
ちなみに、法律用語では「遺言」を「いごん」と読みますが、
本書では一般的な「ゆいごん」の読み方で解説します。
それでは、遺言書がある相続についてのルールを順番に解説していきます。

解説を始める前に、遺言書のルール(法律)は想像以上に複雑です。
そもそも相続の基本的な仕組みは「遺言書がない前提で作られています」
遺言書のない相続を理解していない状態で、
遺言書について解説されても難しいと感じます。
↓
もし、遺言書の解説が難しいと感じた場合には、
「世界一わかりやすい!相続の基礎知識」を、ご覧になってから、この教材をご覧下さい。
それでは「遺言書がある相続は何が違うのか」を順番に解説していきます。

例えば、夫が亡くなりました。相続財産は、6000万円です。
この時、法律で定められた相続権利のある人を「法定相続人」といいます。
今回の法定相続人は、妻と子供3人です。
遺言書がない相続では、相続財産の6000万円を、法律で定められた
相続できる財産の割合(法定相続分)をもとに相続人全員で話し合って、
「誰が、いくらもらうのか」を決めます。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

遺言書がない相続に対して、遺言書がある相続では・・・
原則は、遺言書に従って財産を相続するので、
誰がいくらもらうかの話し合い(遺産分割協議)は必要ありません。
つまり、相続財産の6000万円を「誰に、いくら、相続させるのか」を
決めるのは亡くなった人(被相続人)です。

ポイントを整理すると、遺言書がある相続とない相続との違いは、
遺言書が無ければ「財産をもらう人(相続人)が、話し合って財産を分け合います」
遺言書があれば「亡くなった人の書いた遺言書に従って、財産を分け合います」
↓
つまり、相続で遺言書があった場合には・・・
遺産分割協議(話し合い)よりも遺言書が優先されます。
従って、相続が開始されて最初にやるべきことは・・・
「まず遺言書があるかどうかを確認する」ことです。
なぜなら、相続のルールと手順が大きく変わってくるからです。

<質問>:「遺言書の内容通りに遺産分割しないとダメですか?」
遺言書がある相続は、遺言に従って遺産相続をしますが・・・
遺言書の内容を確認した上で、相続人全員が合意した場合には、
「遺言書の内容と異なる遺産分割をして相続することが可能」です。
ただし、相続人の誰か一人でも反対した場合には・・・
「遺言書に従って相続するしか方法はありません」
これは自筆証書遺言書も、公正証書遺言書も同じです。
ポイントは「相続人全員が納得して財産を相続できること」なのです。

<質問>:「相続した後で遺言書が見つかったら、どうなりますか?」
相続人全員が集まって、遺産分割について話し合いました。
遺産分割協議が成立した後に、遺言書が見つかりました。
この場合は、どうなりますか?
↓
遺言書が見つかった場合は、遺産分割協議は無効となり、
遺言書に従って遺産分割をやり直します。
ただし、遺言書の存在を知った上で、相続人全員が合意すれば、
遺言の内容と異なる遺産分割をすることも可能です。

以上で、今回のレッスンは終了です。
今回は、遺言書があると相続のルールが変わることを解説しました。
実は、多くの人が想像しているよりも遺言書の法律はずっと複雑です。
しかし、遺言書の役割を知ると、遺言書を残す理由がわかってきます。
遺言書の法律と役割を知らなかった為に、相続で困る人は大勢います。
では「どんな人が、どんなふうに困ったのか?」を
次のレッスン「なぜ、遺言書を書くのですか?」で順番に解説します。
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